古今亭志ん生の『鰍沢』

ツバキの木

 昼前に前線の通過のためか風が強く吹き、突然の落雷もあった。大きな音が響いた。雨が降ったあと寒くなる。山間部では、雪になるところもあるという。風で街路樹のツバキも散ってしまうかもしれない。ソメイヨシノはまだつぼみだが、ところどころ開花し始めている。
 昨夜のラジオ深夜便の「朗読」は、藤沢周平の『蝉しぐれ』。松平定知アナウンサーの語りで聴いた。演芸特選の落語は古今亭志ん生だった。演目は『鰍沢』(かじかざわ)と『大津絵』のふたつ。『鰍沢』は聴いたのだが、『大津絵』の方は、いつの間にか眠っていた。聴き逃がした。志ん生の間合いの絶妙さ、登場人物を演じ分ける話芸。わたしたち聞き手へ話の途中で語りかけるときの、心理的な負担の少なさとこころよさを変幻自在に繰り出す語り。ううむ。ううむだ。
 講談社のPR雑誌『本』2006年4月号を読んだ。池内紀の連載「珍品堂目録」は、江戸文化の研究で知られた西山松之助の『しぶらの里』という本の話。原武史の連載「鉄道ひとつばなし」は、「狙われる列車」というタイトルで、列車をめぐる物騒なお話であった。