映画「荒武者キートン」

 昭和のはじめ頃の映画には音がありませんでした。日本では、話芸の伝統を受け継いで、巧みな語り口で映画を説明する「活弁」が発達し、活動弁士は映画館のスターとして人気を集めました。弁士の語りによって、映画は新たな輝きを放ちます。こも機会に、ぜひ「活弁」をご堪能ください。(夏休み活弁シアター「荒武者キートン」パンフレットより。)

 20日、映像文化ライブラリーで、無声映画を鑑賞する。
 「チビッコ・ギャング モンキー・ビジネス」と「荒武者キートン」の二本である。
 
 最初の上映は、「チビッコ・ギャング モンキー・ビジネス」で、活動弁士を女子中学生二名が、前日に映画を見ながらセリフを考え、台本をつくり、語り方を練習したその成果発表を兼ねていた。
 登場人物の子どもらがしゃべる言葉が方言を使っている。主役の一人(?)猿が猿知恵を働かせて、子どもらと大人をてんてこ舞いさせる。


 バスター・キートン、ジャック・ブライストン監督の『荒武者キートン』(1923年、アメリカ、68分、白黒、無声)は活動弁士佐々木亜希子さんの活弁であった。

 上映前に、学芸員や佐々木さんからの映画解説がある。この「荒武者キートン」は、キートン一家総出演の映画で、ウィリアム役のバスター・キートンが列車で乗り合わせた女性が、キートンの妻ナタリー・タルマッジ、赤ん坊役にキートンの息子バスター・キートン・ジュニアまで出演している。原題は、OUR HOSPITALITY。 

 出演は、バスター・キートン、ナタリー・タルマッジ、バスター・キートン・ジュニア。

 

ウィリアムはニューヨークから故郷へ帰る途中、同じ列車に乗り合わせた女性と親しくなる。宿敵の娘とは知らずに夕食に招かれた彼は、身の危険を感じ逃げ出すが・・・。日本で最初に公開されたキートン無声映画としては唯一キネマ旬報のベストテンに入選した傑作。

 夕食に招かれて身の危険を感じ宿敵一味から逃げ出すキートンだが、追われて川を下って滝つぼに落ちかかったり、断崖からあわや落ちそうになったり、ハラハラドキドキする。逃走するキートンの身のこなしは軽快だ。
 ラストは対立する宿敵同士だったが、バスター・キートンとナタリー・タルマッジが神父さんの前で結婚を誓うということで宿敵同士が和解し、めでたしめでたしのエンドマーク。 
 

 バスター・キートンとナタリー・タルマッジ。