夏至の空

ツバキの実

 夏至が近いので、宵の空がいつまでも明るい。午後八時すぎの南南東の空に木星が眺められた。高度は六〇度くらいかな。まだ梅雨が明けていないが、晴天の日々が続いている。通りすがりに、歩道の脇の空き地のツバキに実がなっていた。近寄って見た。この実から椿油が採られるんだね。

 ツバキ科の常緑高木。本州以南に自生するが、関東以北では海岸地帯に点在し、ヤブツバキともいう。高さ三〜七メートル。葉は楕円形で厚く、つやがある。春、赤い花をつける。花びらは五枚あり下部が合着し、多数の雄しべも基部が合着している。果実は球形で、秋に熟すと厚い果皮が裂けて黒い種子が現れ、種子から椿油をとる。  『大辞泉

 書店でPR誌『本の話』と『新刊展望』の2006年7月号を頂く。
 『本の話』で小林信彦夏目房之介の対談、〈『うらなり』と『坊ちゃん』〉を読んでみようと開く。すると、冒頭の[ロング・インタビュー]の「もしも漁師になっていたら・・・・・・」というタイトルでの椎名誠の話が、うんうん、うなずくところがあって面白い。『波切り草』という小説をめぐっての話である。椎名さんが土木科で助手をしていたときの体験話、それが小説に投影できたということ、なるほどね。〈トラス橋とかアーチ橋とか、模型を使って強度実験をやった自分自身の体験なんです、生徒と一緒に。〉
 ふーむ。昭和三十年代をめぐっての話も強く印象に残った。
 小林信彦夏目房之介の対談では、『坊ちゃん』に〈語り物〉、〈落語〉そういった話芸の影響を感じましたね、とお二人が語っている。うーん。そうだなあ。
 たとえば、夏目漱石の『二百十日』は会話のキャッチボールで成り立っているような作品だが、どこか落語を聴いているような感じがするね。
 ラジオから録音したテープで、柳家小さんの「時そば」と古今亭志ん生の「火焔太鼓」を聴く。このテープは志ん生の「火焔太鼓」の下げが、普通演じられるのとは違っている下げの語りなので、聴いたあとの印象がやや違った印象だった。
 『本の話』の表紙は、「白洲正子への蔵書票」という山本容子の銅版画。