六日は、二十四節気のひとつ立夏であった。暦の上で夏の始まる日。
青葉を渡る風がすがすがしい。
街路樹にシナサワグルミの花が見られる。背の高い木で、色のついていない藤の花といった趣である。
太い幹にプレートがくくり付けてあり、小学生が書いたような文字で「シナサワグルミ クルミ科 5月ごろ くさりのように花がたれさがります」とある。
よく見ると、淡い黄緑色の花穂だ。木の高さは二十メートル以上ありそうだ。蕪村の句に、
痩臑(やせずね)の毛に微風あり更衣(ころもがへ)
通りの街路樹が森のように若葉で鬱蒼となりつつある。そんな若葉の薫る通りを抜けてずんずん進む。ブックオフで、「月刊たくさんのふしぎ」2000年6月号を買う。一〇五円。タイトルは「草と木で包む」。文と絵 U・G・サトー。
内山節の『山里紀行』*1(日本経済評論社)を読み始める。本書は一九八四年一月から九〇年三月にかけて大日本山林会刊行の『山林』誌に連載した「山里紀行」の単行本化として生まれた。