初午や物種うりに日のあたる

 昨夜は上弦の月であった。今宵も晴れているので、夜半に外へ出てみた。半月が西の空に傾きかけている。
 月明かりであるが、天の川が淡く光っていた。火星も幾分か小さくなっていて、オリオン座やおおいぬ座シリウスも見える。
 今年の初午は二月十二日だったか。蕪村の句に、「初午や物種うりに日のあたる」。*1
 今月の『新潮』2008年3月号から「対話 力の文明に抗う言葉/池澤夏樹中沢新一」を興味深く読む。
 《文明の危機が最後のフェーズを迎えつつある今、希望の原理はどこにあるのか?》
 フランスに住んでいる池澤さん、そして中沢さんの感じるカトリックプロテスタントの物の見方の違いや、鶴見和子の『南方熊楠』などを手がかりに、日本に哲学がないといわれる例の問題などの談話も面白い。

*1:脚注に、初午に稲荷神社の門前で作物や草花の種をあきなった(『日次紀事』二月)。