荻上直子の映画のこと

紅梅

 紅梅が膨らみ満開である。青い空と紅梅の色が目に鮮やかだ。
 蕪村の句に、「宿の梅折取(おりとる)ほどになりにけり」。
 テレビのニュースで第58回ベルリン国際映画祭で、荻上直子監督の映画『めがね』がザルツゲーバー賞を受賞したという。どんな賞かと調べると「既存の概念にとらわれない芸術表現をした」作品に授与されるとある。なるほどね。コメディや実験精神への評価かな。
 『かもめ食堂』『めがね』『バーバー吉野』と観てきていたので、この受賞は嬉しい。荻上直子の『バーバー吉野』ではないが、ハーレルヤ、ハレルヤと口ずさみたくなる。
 きだみのるの自筆「きだ・みのる年譜」を読む。

 一九一九年私はヨーロッパに行った。帰ってから私は古典ギリシャの研究をライフ・ウォークにする決心をした。方法は原典主義を採り、原典の精読を重ね日本文化で育ちそれから我々は離れられない以上、かかる者としての私の感情し理解するギリシャを明にしようと思った。それ以外に世界文化に貢献する途はないように考えた。
 私はこうしてホメロスの二つの大きな叙事詩を読み、再読し、カードを作っていた。そして幾つかの問題点を見つけていた。
 生活の資としてはアテネの給料では足りなかったので、ファーブルの昆虫記を引き受けることにした。

 うーむ。ファーブルの昆虫記だが、林達夫との共訳なので、きだみのる林達夫のつながりはどんなだったのかな。