車谷長吉「四国八十八ヶ所感情巡礼」

バラの花

 公園のバラ園に寄り道する。バラの良い香りが匂っている。
 通りがかりのひとが香りに吸い寄せられるようにやって来る。
 バルセロナから家族旅行でやって来た夫婦が隣に来た。
 黄色のバラが目に鮮やかである。
 『文學界』2008年6月号で、車谷長吉四国八十八ヶ所感情巡礼」が面白い。
 短期集中連載第二回であるが、第一回を読んだ時に予想した感じたことが、当たっているような文章である。今回もそのときに予想したウンコの描写が印象的だ。
 読んでいて、もう出るかな、ウンコ。と思っているともう出てもよさそうな日に、雨の中、野糞を二回する。とか、野糞をする、快便。という風に記される。
 それが、なにやらえもいわれぬ可笑しさ。変なところがあって、笑いたくなる。
 今月の連載では、「ウンコ」が「野糞」と表記を変えているのに注目した。
 とりいかずよしのウンコマンガがあったけれど、ちょっとそれを連想する。 ただし、今月はウンコという言葉ではなく、野糞と記しているのだった。
 三月三十日の新聞で、草森紳一のおくやみ記事があったが、この巡礼記草森紳一をめぐる回想など興味深い。