ゴーヤと「敗戦日記」

ゴーヤ

 早朝、ゴーヤを収穫する。32センチと30センチ。夜が明けるともうセミが鳴きだす。
 先週26日、名作映画「小林桂樹特集」の一本で堀川弘通監督の映画『激動の昭和史 軍閥』(1970年、東宝、134分、カラー)を映像文化ライブラリーで観た。小林桂樹東条英機を演じている。
 2・26事件、東条内閣の成立、日米交渉と決裂の経緯。戦中の海軍と陸軍の報道姿勢と真実を報道しようと苦悩する毎日新聞記者(加山雄三)の姿など見たのだった。
 高見順の『敗戦日記』の面白いところのひとつは、7月、8月当時の新聞記事が日記に引用されていることだろう。*1

 八月十二日
 新聞が来ない。
 きゃたつを担いで、かぼちゃの交配をして廻った。
 快晴つづき。おかげで米の凶作からのがれるらしい。
 日が傾いてからなすにこやしをやった。こやしの桶のつるがこわれて、足にこやしを浴びた。
 今日もラジオは何も告げない。九時のニュースの時など、それっとラジオの前に行ったが、(音が低くて側へ行かぬと聞えぬのだ)簡単な対ソ戦の戦況と米作に関するもの、タイに於ける邦人企業整備のこと、この三つでアッサリ終り。
 新田が今日から隣組の大野さんの一室を借りることになった。そして食事は私のところへ摂りにくるのである。
「○○(註=東条)というのは、考えてみると、実に怪しからん奴だ」
 どこでもそんな話になる。私もそうしたことをいう。しかし、日本を今日の状態に至らしめた罪は私たちにもあるのだということを反省せねばならぬ。(以下略)  『敗戦日記』(文春文庫)240ページ

 その他に、平田昌広・文、井上洋介・絵『かあちゃんのせんたくキック』(文化出版局)を読んだ。

*1:日記の太字の部分は傍点がある。