水と魚の大会

 夕方6時から始まるのだが、少し前にアステールプラザに着いて、アニメ関連の仮設の店を見ていると、そのうちの一軒にどこかで見たことのあるような人が・・・。
 漫画家でアニメ作家の久里洋二さんが、浴衣(ゆかた)を着た男のひとと並んで店の人と話しているところだった。
 浴衣の人に、「久里さんですか?」と聞くと、「ええ、こちらが久里さんです。」と指し示すのだった。
 会場の大ホールのロビーで、とらや餅の赤飯むすびで腹ごしらえする。
 七日から始まっている第12回広島国際アニメーションフェスティバルの最終日、表彰式・閉会式につづいて受賞作品上映があるのだ。
 表彰式・閉会式で一時間。国際審査員らの英語での選評と通訳した日本語とを聴いてゆく。表彰式・閉会式のあとに十五分ていどの休憩があって、それから9時まで受賞作品を観た。
 一作品が終わるたびに、拍手の嵐。短編が多い。ユーモアのある作品、奇想天外な幻想的作品。
 短いが故のポエジーある作品も楽しい。
 
 閉会式で審査員長が、「連日、久里洋二さんは広島の川で魚を釣っていました。私はこの大会を水と魚の大会と呼ぶことにします。」と締めくくりの言葉にユーモアをこめて、今回のアニメーションフェスティバルを総括された。これが印象に残った言葉だったなぁ。
 そういえば、観客賞とヒロシマ賞をダブル受賞した加藤久仁生さんの『つみきのいえ』という作品はイタリアのヴェネチアではないが、海の上の家、そこに住む男の家族への追憶を、つみきのいえから水中にもぐり思い出す。うーむ。これが、審査員長の言う水と魚になるのかな?
 グランプリ受賞の山村浩二さんの「カフカ 田舎医者」は最終の上映だった。
 印象として、寺山修司風の不条理劇のような気がする。笑いがないのが残念だ。
 帰ってから、すぐに久里洋二の『人間動物園』を開いてみた。
 参照:「第12回広島国際アニメーションフェスティバルhttp://hiroanim.org/