台風の影響で低い雲が南から北へ向かってゆっくり移動してゆく。
曇り空で南風は湿気を含んで蒸し暑い。街路樹に団栗(どんぐり)の実がなっていた。
シラカシ(白樫)の実で、下部を殻斗(かくと)が包んでいる。
小野耕世著『世界のアニメーション作家たち』で、ヤン・シュヴァンクマイエル、ルネ・ラルー、カレル・ゼマンへの著者のインタビューを読む。
カレル・ゼマンは二年前に広島国際アニメーションフェスティバルで、「カレル・ゼマン展」があり、ジュール・ヴェルヌの小説を人形アニメ化した『悪魔の発明』関連の実物資料が展示されていました。一人で漕ぐ一人乗りの潜水艇、潜水服を着た人形、製作に参考資料にされた雑誌のイラストや写真が展示されていたのを思い出します。
小野さんはカレル・ゼマンにチェコスロバキア時代から会いに行っている。
ジュール・ヴェルヌの作品のアニメ化の撮影エピソード、海でのシーンを撮るのに湖を使っているのだが、その理由など面白いカレル・ゼマンの話などがある。
ルネ・ラルーとのインタビューで、『ファンタスティック・プラネット』でいっしょに仕事をしたローラン・トポールについての脚注があるので、引用すると、
Roland Topor1938―1997。この作品で奇想天外な異世界風景や奇妙な動植物たちを描いた。ブラック・ユーモアの画家でもあり作家でもあるローラン・トポールは、一九三八年一月七日、パリに生まれた。六〇年代にはヨーロッパに知れわたった久里洋二の『人間動物園』など一連の短篇アニメに感動し、久里洋二を尊敬、心酔していた。一九九七年四月十六日、脳溢血によりパリで急逝してしまったのが惜しまれる。 75ページの脚注より
この作品というのは『ファンタスティック・プラネット』で、画家のローラン・トポールとルネ・ラルーはいっしょに仕事をしているのですが、ローラン・トポールが久里洋二の『人間動物園』など一連の短篇アニメに感動していたという話は初耳です。
六〇年代にヨーロッパでまだ二十代前半だった若いトポールが久里さんの作品を観ていたのですね。
以前、チェコのアニメーションを観ていた時に、ひょっこりひょうたん島の人形劇に似た人形とその吹き出しの中の絵が久里洋二の絵によく似た感じだったのが印象的だったことがありました。
その作品が何だったかを調べると、イヴァン・レンチ監督の『灯台守』(1968年、12分、カラー)がその作品でした。

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