アピチャッポンとジャ・ジャンクーの二人の監督の映画が、今月(8月)映像文化ライブラリーで上映されている。
21日、タイの監督アピチャッポン・ウィーラセタクン*1の映画『真昼の不思議な物体』(2000年、タイ、83分、白黒)を観た。
冒頭、バンコクの街を鯖(さば)の干物やナンプラーを売り歩く行商のトラックが走っている風景から始まる。
「鯖の干物だよ。ナンプラー、19バーツだよ。」
映画は、ドキュメンタリーであるように見えて、登場人物に「足の不自由な少年と家庭教師の話」を語らせるというフィクションとが絡まり、不思議な物体についての物語を様々な人々に語らせるという、何とも不思議な伝承的な物語がつむぎ出されてゆく。
夢かうつつか。映画を観てゆくうちになにがなにやら分からなくなってゆく。
後半、眠ってしまったらしい。一瞬の間だったのか、随分眠っていたのか分からなくなる。
こんな映画はあまり観たことがない。
いわば、映画の文法(もし、あるとすればだが・・・)を逸脱している。
セルゲイ・パラジャーノフの『ざくろの色』を連想した。
人々の会話でのやり取りに、滑稽な笑いの場面が見られた。
医者と患者の会話で、可笑しくて笑った。
巫女的な婦人がサングラスをかけて、不思議な物体について物語るシーンでの表情でも・・・。可笑しくて笑った。