チェコのアニメーション2

 「チェコ・アニメーション傑作選」のプログラム2を映像文化ライブラリーで開催している。昨日につづいてチェコのアニメーション作家ヤン・シュヴァンクマイエルの作品を6本観る。

 『棺の家』(1966年、10分、カラー)
 『コストニツェ』(1970年、10分、白黒)
 『エトセトラ』(1966年、7分、カラー)
 『アッシャー家の崩壊』(1980年、15分、白黒)
 『レオナルドの日記』(1972年、11分、カラー)
 『ドン・ファン』(1970年、32分、カラー)
 
 『棺の家』は一匹のモルモットをめぐって二人の男が争う。
 木槌で殴り合いになる。これもスラプスティック・コメディだ。しかもブラック・コメディ。
『シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』と同じ系譜に連なる作品だろう。
 『コストニツェ』は、1318年のペストの流行で五万人死んだというその人骨でつくられた納骨堂についてのドキュメンタリー風な作品。納骨堂には、15世紀のフス戦争の死者の人骨も集められている。 
 『アッシャー家の崩壊』は、エドガー・アラン・ポーの短編小説のアニメーション化である。シュールリアリズムの影響がうかがわれる作品だ。アッシャーの精神状態や邸(やしき)の崩壊する様子が夢かうつつか、観ていると眠くなるような不思議な映像である。
 シュールリアリズムの画家マックス・エルンストの絵を連想させる質感の描写が見られた。
 『レオナルドの日記』は、レオナルド・ダ・ヴィン手記にある人物のデッサンや図面が表情を得て生き生きとアニメーション化されて動き出す。その動きに現代のニュース・フィルムの映像が交互に対比的に映し出される。
 レオナルド・ダ・ヴィンのデッサンや図面が生き生きと息を吹き込まれて動く。レオナルド・ダ・ヴィンの手記のデッサンをアニメーションにした作者の発想に驚く。その味わいが素晴らしく、わたしの好みの作品である。
 最後の『ドン・ファン』はチェコの伝統的な人形劇のアニメーションだ。物語の内容もあるが、残酷な描写が最後にあるのだった。これは人間が人形になって演じている。
 野外劇であるかと見えて室内劇でもあるという複雑な構成の作品だった。