きだみのるの本

ゴーヤ

 早朝、ぶら下がっているゴーヤを収穫する。3本。31センチ、37センチ(三日月のように曲がっている)、32センチ。
 『四方田犬彦の引っ越し人生』(交通新聞社)を読み終える。とても面白かった。
 筆者は月島の長屋暮らしから、イタリアのボローニャ修道院裏路地に引っ越して一年後に、帰国する。職住接近のイタリア人の生活哲学にあこがれて今度は伊皿子坂に引っ越す。
 近所で秋山祐徳太子に何十回ともなく出くわした、とある。
1990年代にはさすがに往時のように大学のバリケードのなかで全裸になったり、グリコのCMよろしく日の丸を背負って町中を駆け廻るという奇怪なパフォーマンスこそしなくなっていたが、芸術とは匿名のユーモアでなければならぬという信念だけは生涯無転向のようで、ブリキで作られた彫刻の展覧会にしばしば誘われた。》(139ページ)
 《月島に住んでいたのは6年ほどである。その間にわたしは島に住む多くの人々の話を纏めると、『月島物語』というエッセイを上梓した。心のなかではどこかできだみのるの『気違い部落』のことを意識していたのだろう、ちゃんと前の方にこの天才的放浪者の少年時代の月島行が登場している。》(121ページ)
 9日、きだみのるの『気違い部落周游紀行』1989年第5刷(冨山房百科文庫)が寄り道したブックオフで棚にあったので買う。読んでいる時に気になった本が、こうしてすんなり入手できたは不思議な感じがする。
 もう一冊、辰巳浜子『料理歳時記』1981年9版(中公文庫)。

気違い部落周游紀行 (冨山房百科文庫 31)

気違い部落周游紀行 (冨山房百科文庫 31)

四方田犬彦の引っ越し人生