「チェコ・アニメーション傑作選」を映像文化ライブラリーで、プログラム4を観る。
観客は10人ほど。観客が先週よりだんだん少なくなって行く。
昨日のプログラム3は見逃したが、内訳は次の作品3本だった。
『樫の葉が落ちるまで』(1991年、28分、カラー)監督:ブラスタ・ポスピーシロヴァー。
『天使ガブリエルと鵞鳥夫人』(1964年、29分、カラー)監督:イジー・トルンカ。
『善良な兵士シュヴェイク2/列車騒動の巻』(1954年、22分、カラー)監督:イジー・トルンカ。
プログラム4を観たのだが、短編アニメが多い。6本が上映された。
『ジェネシス』(1966年、6分、カラー)監督ヤナ・メルグロヴァー。
『灯台守』(1968年、12分、カラー)監督:イヴァン・レンチ。
『ロマンス』(1962年、14分、カラー)監督:ブジェチスラフ・ポヤル。
『雄弁家』(1962年、11分、カラー)監督:ブジェチスラフ・ポヤル。
『情熱』(1961年、9分、カラー)監督:イジー・トルンカ。
『電子頭脳おばあさん』(1962年、29分、カラー)監督:イジー・トルンカ。
このうち、ヤナ・メルグロヴァーとイヴァン・レンチの短編が素晴らしい。独特の世界を人形アニメで見せてくれる。
『ジェネシス』は、人間の部分が組み合わさって行き、だんだん人間に成っていくのだが、不思議な過程を通過してゆく。自動人間(人形?)製作工程アニメかな。その変貌する様子が面白い。
『灯台守』は、人魚が航行中の船を沈めようとするのを灯台守が阻止しようとする。その攻防戦がドタバタと滑稽なやり取りで笑いを誘う人形劇アニメである。
海の表現などを見ると、『ひょっこりひょうたん島』の海と似ている。*1
なぜか、懐かしい人形劇という感じがする。
作品のなかに吹き出しが現れて、そのなかのマンガが久里洋二のマンガに似ている。同時代人的な影響があるのかな。
『ロマンス』は、プログラムの解説文だと、「次々とお金持ちの男に乗り換えていくロマンスを、乗り物に乗り換えることで表現した短編。」とあるが、皮肉な落ちがあって、一筋縄ではないストーリーだ。
冒頭の青い夜空をふわーっと自由自在に飛び回り、恋する若者が手に星を集めるのシーンがある。娘に星をプレゼントするために・・・。このシーンは目をみはる素晴らしさだ。美しく、とても印象的である。
『雄弁家』は、演説会で自分の演説が拍手喝采をされることを夢想しながら、弁舌の訓練をした男がいざ本番の演説会で雄弁に演説をするのだが、さてその結果は? 皮肉な風刺的な人形アニメであった。人形の表情が生き生きしている。
『情熱』は、赤ん坊のころからスピードに夢中になった男の一生を短い短編で、その変遷を見せてくれる。
男は次々にスピードのある乗り物を乗り継いで行く。赤ん坊から老人までを。さて、その結末は?
皮肉が利いた結末で終わる。やれやれ。
『電子頭脳おばあさん』は、プログラムの解説文に「おばあさんの家を離れ両親の家に行った少女は、奇怪なマシーンに出迎えられる。」とあるが、奇怪なマシーンが少女の親、母親なのか。
どうも実物の両親が不在であるような設定の物語なのではないか。その奇怪なマシーンと少女が交流しようとするのだが、なにやらもどかしい齟齬(そご)感が漂う体験を描いているような気がした。
最後は、少女はおばあさんの元へ戻れることになり、おばあさんに抱きしめられる。
人形の少女が三頭身でキュートである。この物語では、少女にとって安全基地がおばあさんに当たるのだろう。誰かが見守ってくれているという安心感を少女がつかんだラストが印象的だ。