映画『赤い砂漠』

赤い砂漠

 早朝、北寄りの風が吹く。雲がゆっくり南へ移動してゆく。雨はなく、台風の今後の動きが気になる。
 今月は池部良特集とイタリア映画特集の二本の特集が映像文化ライブラリーで上映されている。
 ミケランジェロ・アントニオーニ監督の映画『赤い砂漠』(1964年、イタリア、フランス、117分、カラー)を見に駆けつけた。出演はモニカ・ヴィツティ、リチャード・ハリス、カルロ・キオネッティ。
 プログラムに、
 ジュリアーナは交通事故の精神的ショックから立ち直れずにいた。夫のウーゴはそんな彼女に友人のコラドを紹介する。ある日、ジュリアーナは夫やコラドたちと海辺へ遊びに出かけるが・・・。イタリアの巨匠、アントニオーニ監督初のカラー作品。ヴェネチア国際映画際サン・マルコ金獅子賞、国際映画評論家連盟賞受賞。
 もくもくと煙を上げる発電所(?)、工場の吹き出す蒸気の広がり、工場の煙突からの煙、霧の冬の光景、子供を連れて夫の勤める工場へ会いに向かうジュリアーナ、殺風景な風景のなかでジュリアーナの緑色のコート、喧騒と煤けた工場群の情景や霧に包まれた海岸の小屋で友人と過ごす休暇のシーンの暗さと、ラストに夏の海である一人の少女が泳ぐシーンの明るさの対比が印象的だ。これもジュリアーナの心象風景なのだろうか。