けふのみの春をあるひて仕舞いけり

睡蓮

 公園の池に睡蓮が咲いていた。あちこちに葉の陰から花が見え隠れしている。
 ハスはまだ眠っている。もうすぐ目覚めるでしょう。クスノキの若葉の新緑が鮮やかだ。風が強く気温が低い。肌寒く感じる。
 蕪村の句に、「けふのみの春をあるひて仕舞いけり」。
 西江雅之の『ヒトかサルかと問われても』(1998年、読売新聞社)をブックオフで購入。
 雑誌『ユリイカ』に、昨年の春まで「異郷日記」という西江雅之さんの連載がありましたね。
 その最終回に、長年住んでいるが隣りの家に住んでいる山田さんが何者か知らなかったエピソードがあった。山田さんというのが作家の川上弘美さんだったというのに驚いた。
 それはさて置き、本書の圧巻は、一九六一年のソマリアの砂漠を縦断し、ジブチまでの旅だろう。
 その後、エチオピアへ寄った後にジブチに戻り、ジブチから飛行機で対岸のアデンへ渡り、帰国のための船探し。
 フランスの東洋航路の船が入港するので、それに乗船して帰国へ。その船内に三人の日本人がいて、そのうちの一人が、フランスから帰国する日本人の若い女性が同船していて「帰国後映画関係の仕事に就き、さらにその後、岩波ホールで数々の名画を紹介をすることになった高野悦子さんである。」(167ページ)
 そういえば、「異郷日記」が単行本化されていますね。
異郷日記