雁木とフジツボ

雁木のフジツボ

 8月7日は、二十四節気のひとつ立秋。熱帯夜がつづくので、まだ秋という気がしないのだが・・。
 昨日は満月で午後八時ごろには、東の空に低く昇って来ていた。
 春の一日、夕方の日没を見ながら、島の港にある雁木(がんぎ)に座って弁当を食べたことがあった。今は、漁師の舟が係留されている。
 石段にびっしりとフジツボが付着していて、その形や分布の模様を観察することになった。
 倉谷うらら著『フジツボ 魅惑の足まねき』(岩波書店)を読むと、フジツボは貝の仲間ではなく、甲殻類(エビ・カニの仲間)だという。
 動き回らずに水中の岩や人工物にピタリとくっついて生息するタイプの生き物のことであると。
 フジツボの仲間は、脚が植物の蔓(つる)のような形をしている。
 それで蔓脚類(まんきゃくるい)とも呼ばれる。
 1859年に『種の起源』を出版したダーウィンが、実はフジツボ研究家であった。
 ダーウィンの種の理論に関する考察に、「フジツボこそ自然淘汰に対する理解を深めてくれた」と友人への手紙に告白しているそうだ。
 他には雑学的フジツボをめぐるエピソードが楽しい。
 本書の巻末の「付録フジツボを観察しよう」がある。小学生の夏休みの自然観察に参考になるだろう。
 もう一つ、型紙でフジツボをつくろうという工作の付録記事がある。

フジツボ―魅惑の足まねき (岩波科学ライブラリー)

フジツボ―魅惑の足まねき (岩波科学ライブラリー)