とどまればあたりにふゆる蜻蛉(とんぼ)かな


 4日、雨。5日、曇り、時々小雨。
 6日、夜、雷鳴とどろく雷雨になる。湿度が高い。不快指数最悪。
 7日は、二十四節気のひとつ小暑である。晴れて蒸し暑い。湿度が高い。
 8日、すっかり夏空になった。梅雨明け宣言はまだ出ていないが、空気が乾いているし、気持ちよい風が吹く。青空で陽射しが強烈である。梅雨空の蒸し暑さから解放される。
 久しぶりに公園の池に寄った。睡蓮の葉にいるトンボがよく見るとクロイトトンボのようである。
 あちこちと睡蓮の葉に止っている。
 「とどまればあたりにふゆる蜻蛉(とんぼ)かな」(中村汀女)。

 夜、NHKのカルチャーラジオ日曜版で、「『方丈記』という生き方」という番組を聴く。
 出演は浅見和彦氏で、今夜は第二回、「鴨長明の災害体験」。
 『方丈記』のテキストをアナウンサーが朗読し、本文に書かれた鴨長明の行動とその観察眼をたどる。
 平清盛があわただしく都を福原に遷都した時の様子を、長明が福原、今の神戸へ出かけてその福原の土地の狭さ海からの潮風や音の騒がしさなどを実見している。
 アナウンサーの朗読する『方丈記』の箇所を本を広げてみる。


 藤本邦彦著『ミミズの心臓、ノミのため息 其の二集』(さんこう社)を読む。
 装丁・挿絵、勝川克志。勝川漫画を読んで、思い出したことや学生時代の貧乏鈍行旅行の話、交友録で、本好きの友人のエピソードなどが面白かった。
 「其の四〇 聖なる植物」は、聖なる植物は、どうして聖性を付与されたのか? ということをめぐって書いているのだが、『神々の赤い花』という一九九〇年に平凡社から出た本の話から、この本の著者・西川照子と「エディシオン・アルシーヴ」とか生田耕作をめぐる人脈の謎がどうもわからないと藤本さんが書いている。
 『水蜘蛛』マルセル・ベアリュ著、田中義廣訳、1982年、「エディシオン・アルシーヴ」発行は、藤本さんの好きな小説だそうだ。
《実はこれは、私のいちばん好きな幻想小説だ。死と退廃、エロティシズムと三要素の、完璧な短編だ。》  219ページ

ミミズの心臓、ノミのため息 其の二集

ミミズの心臓、ノミのため息 其の二集