「生誕100年 田中絹代・上原謙特集」が、12月も引き続き開催されている。
3日、小津安二郎監督『宗方姉妹』(1950年、新東宝、112分、白黒)を観た。
大佛次郎の朝日新聞連載小説が原作。田中絹代、高峰秀子、上原謙、山村聰、笠智衆が出演。
高峰秀子が上原謙の前で芝居がかった活動弁士風の演技をするところが笑いを誘う。
猫が家の中でやたらと登場する映画である。猫の描写が多く印象的なのは、もちろん原作に忠実につくってあるからなのだろう。
奈良の薬師寺の東塔、京都御苑でロケされている。後半のフィルムの状態がやや良くない。
4日は成瀬巳喜男監督『めし』(1951年、東宝、97分、白黒)が上映された。
林芙美子の朝日新聞連載で絶筆小説『めし』が原作。井手俊郎と田中澄江が脚本を書いている。
恋愛結婚をしたが倦怠期にある夫婦の微妙な心理や生活感を細やかにみせている。夫の仕事で大阪に東京から引っ越して来て住んでいる二人の日常に、妻の姪(島崎雪子)が東京から家出して転がり込んで来た。上原謙と原節子が好演。大泉滉は近所の若者役で。
終わりに、列車で二人が東京から大阪へ戻って行くシーンが印象的だ。
映画では畳に座って卓袱台で「めし」を食べるシーンが何度もある。
「めし」という小説のタイトル。飯(めし)に込められた林芙美子の人生観に思いをいたすのだった。
ところで、山村聰は、この二つの作品に出演している。『宗方姉妹』で三上(山村聰)が妻の節子(田中絹代)を平手打ちするシーンが凄い。必見。

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