晴れて陽射しが強く、寒中で冷え込む。法事で僧が来訪。
蕪村の句に、「極楽の近道いくつ寒念仏」。
今月は「北欧映画特集」以外に、「名作映画 岸惠子特集」があり、21日は小林正樹監督『あなた買います』(1956年、松竹、112分、白黒)の上映があった。
プロ野球球団のスカウト合戦の内幕物の映画で、当時からもこのような猛烈なスカウト合戦があった。
あなた買いますの世界である。スカウトされる選手の恋人役に岸惠子が出演。初々しい感じがする。
23日、市川崑監督『おとうと』(1960年、大映、98分、カラー)を観に寄る。観客が多い。
幸田文の自伝的な小説の映画化。小説家の家庭を舞台にして姉(岸惠子)と弟(川口浩)それに小説家の父(森雅之)と継母(田中絹代)のあいだの葛藤と愛情を描いている。
冒頭リズミカルな動きのあるクレジットタイトル。映像と映像のつなぎ、高い所から見下ろす映像、低い所から見上げる映像など印象的なショットが見られる。
白いアヒルが多数突然にワイドなスクリーンにあふれ出すシーンなど色の演出がカラフルだ。
以前観たときにセピア色の映像だったと記憶した大正時代の街の電車通りの情景などは記憶と違って明るい色だった。土手の桜並木、雨降りのシーンなども。
脇役の岸田今日子のキリスト教の伝道師が、継母の田中絹代に語りかけるシーンが独特の怪しい雰囲気でおどろおどろしい魅力がある。
撮影は宮川一夫である。撮影テクニックが素晴らしい。
館内から外へ出ると南中から西へ傾きかけた上弦の月が天高く眺められた。