映画『プリンセス マヤ』

『プリンセス マヤ』

日本と欧州連合EU)の市民交流の促進を目的として毎年行われる「日・EUフレンドシップウィーク」の一環として開催の「EUフィルムデーズ」で多彩なヨーロッパ映画が映像文化ライブラリーで上映されている。
 15日、テレサ・ファビク監督の映画『プリンセス マヤ』(2009年、スウェーデンアイルランド、91分、カラー)を観に寄る。原題、Prinsessa(Starring Maja)。
 プログラムに、
 スウェーデンの田舎町に暮らす18歳のマヤ。彼女の夢は女優になること。舞台で喝采を浴びたいと思うが、不器用で人付き合いが苦手なマヤには難しい夢だった。ある日、ドキュメンタリー監督のエリカと出会い、マヤは逆境を乗り越える強さと自信をもつようになっていく・・・。
 売れないドキュメンタリー映画監督のエリカは仕事で結婚式の撮影をしているある日、自分が企画しているドキュメンタリー作品の主人公にぴったりのすこし太目の体型のマヤを見つける。
 高校の演劇クラブで女優になることを夢見ているマヤは、エリカがマヤ自身をドキュメンタリーで映画を撮りたいというのに同意する。家族とともに、撮影に協力する。
 エリカはテレビ局の知人にマヤをコメディ番組に出演させるよう働きかけ、ついに念願のテレビ番組へマヤを出演させるのだった。
 そのスタジオでの番組出演のために、田舎町から大都会のストックホルムへ、一台のクルマにエリカの運転で、マヤとマヤの演劇クラブの同級生の男の子を乗せ三人が向かう。
 エリカはストックホルム在住で、エリカの住いにマヤらは泊まる。
 スタジオで収録された番組は、のちにテレビで放映され、マヤの母や父、その知り合いが集まってテレビ放映された番組を観る。
 しかし、その番組の撮影を終えて、マヤは番組の役柄が自分の描いていたイメージの役柄でなかったことが不満で、マヤは出演を後悔し悩むのだった。
 マヤとエリカの二人の間の友情と夢にひび割れができそうになる。マヤとエリカの二人の間の微妙な感情の行き違いが、丁寧な描写で描かれる。
 卒業記念の演劇クラブの舞台でマヤは、口髭をつけた男の役を演じるのだった。
 ラスト、卒業生の家族らの観客がその芝居を観て、拍手喝采をし大成功だったことにマヤは喜びに包まれる。
 これを通じてマヤは何かひとつ乗り越えて、学校を卒業を機に新たな未来に向けての道を歩みだすのだった。
 そして、エリカも・・・。マヤとエリカの真摯さが印象的な佳作である。
 スウェーデンの田舎町の田園風景と大都会のストックホルムの喧騒も印象的だった。