新吾十番勝負

 
 主演スターの魅力、迫力ある殺陣、劇的なストーリーの面白さで見せるチャンバラ映画が、2月、3月の2ヵ月にわたって「時代劇特集」として映像文化ライブラリーで上映された。
 そのなかで、3月に川口松太郎の小説「新吾十番勝負」を映画化した作品を観た。
 大川橋蔵葵(あおい)新吾を演じるチャンバラ映画である。

 松田定次・小沢茂弘監督『新吾十番勝負 第一部・第二部総集版』(1959年、東映、103分、カラー)。*1
 松田定次監督『新吾十番勝負 第三部』(1960年、東映、85分、カラー)。
 松田定次監督『新吾十番勝負 完結篇』(1960年、東映、87分、カラー)。

 3月プログラムより引用すると、

 『新吾十番勝負 第一部・第二部総集版』 

正義感から次々に悪に向かう葵新吾は、実は徳川八代将軍吉宗の子であった。出生の秘密を背負いながら、剣の道を進む新吾を大川橋蔵が演じ、その美剣士ぶりがファンを魅了し、人気シリーズとなった。

 出演は大川橋蔵長谷川裕見子月形龍之介山形勲

 『新吾十番勝負 第三部』

新吾は、父である徳川吉宗と対面することになり、江戸へと向かう。しかし、敵対する老中が放った刺客や、高弟の仇を討とうとする柳生流の門弟たちが新吾の命を狙い、剣の達人である新吾も窮地に追い込まれる・・・。

 出演は大川橋蔵佐久間良子月形龍之介、大友柳太朗。

 『新吾十番勝負 完結篇』

吉宗は、新吾を江戸に呼び寄せる策として、江戸城内で上覧試合を開くことにした。新吾は自源流の代表として上覧試合に臨み、かつて剣の師を倒した武田一真と対決する・・・。

 出演は大川橋蔵丘さとみ長谷川裕見子、大川恵子。

 父である徳川吉宗(大友柳太朗)と母(長谷川裕見子)と会おうとするが、いつも邪魔が入り親子対面の日がやってこない新吾。
 完結篇で、上覧試合にかこつけて吉宗(大友柳太朗)と新吾の母(長谷川裕見子)は、新吾を呼び寄せる。
 上覧試合で新吾(大川橋蔵)が勝ち進み、最後に宿敵の武田一真月形龍之介)と対決する。
 月形龍之介の剣さばきが鬼気迫る演技で凄みがある。
 大川橋蔵の新吾と月形龍之介の武田一真との闘いのシーンが印象的だった。

*1:第一部と第二部のフィルムは現存せず、第一部と第二部を再編集した、この第一部・第二部総集版が現存するのみという。