「山里の贈り物」を読む

 27日、最低気温−2℃、最高気温6℃。曇り。
 28日、最低気温−1℃、最高気温7℃。晴れ。
 午前三時半ごろには夜半の雪が降り止んでいた。
 晴れた夜空の西に丸い月が見られた。
 一面の雪景色を月の光が照らしている。
 まったく風がなく静かだ。
 日の出前に雪を踏みしめて歩く。足元からぽくぽくと音がした。
 凍った道はじゃりじゃりと音がする。
 雪は午後に日陰に残して消えた。
 
 
 月刊『山と溪谷』2013年2月号は「特集・山のリスク回避術100」。
 池内紀の連載「山の本棚」で『越後の旦那様――高頭仁兵衛小伝』と特別寄稿で「山里の贈り物」を読む。
 「山里の贈り物」は、今月の「特集・山のリスク回避術100」に少しは関連しているかも知れないが、池内紀さんの新刊『ニッポンの山里』をめぐる文であった。
 山里を訪ねて行くようになった経緯などが書かれている。

 少し引用してみる。
 
 《山は二十代から親しんできた。四十代で体力の衰えを痛感して、十年ちかくやめていた。五十代で再開したとき、自分なりのルールをきめた。秋の終わりから冬は休止。大きな山は夏、それもセミプロの友人と行く。ひとり登山は低山にかぎる。
 ひとりのとき、ただ登るだけではつまらない。自分なりの課題をもっていると、たのしさが倍になる。低山の尾根を歩くとよくわかるが、そこはながらく生活道だった。土地の人が山越えをしたり、馬や牛が特産物を背中に乗せて通っていた。》 
 登ることだけに気をとられていたころには、思ってもいなかったものを山里探訪で見いだした筆者の話が興味深かった。

ニッポンの山里

ニッポンの山里