《ドイツ表現派を代表する監督で、ハリウッドでも活躍し、20世紀の映画史に比類ない足跡を残したフリッツ・ラング。今回の特集では、ドイツ時代に制作した犯罪映画の古典的名作「M」、若い男女の過酷な運命を異様な緊迫感の中に描き、“30年代最高のアメリカ映画”と称される「暗黒街の弾痕」、チェコのプラハを舞台にナチスに追われるレジスタンスの恐怖を描いた反ナチス映画の傑作「死刑執行人もまた死す」など、8作品を上映します。ぜひご鑑賞ください。》
11日、フリッツ・ラング監督の映画『M』(1931年、ドイツ、99分、白黒)
12日、フリッツ・ラング監督の映画『暗黒街の弾痕』(1937年、アメリカ、86分、白黒)
18日、フリッツ・ラング監督の映画『マン・ハント』(1941年、アメリカ、105分、白黒)
19日、フリッツ・ラング監督の映画『死刑執行人もまた死す』(1943年、アメリカ、134分、白黒)
25日、フリッツ・ラング監督の映画『恐怖省』(1944年、アメリカ、86分、白黒)
26日、フリッツ・ラング監督の映画『外套と短剣』(1946年、アメリカ、106分、白黒)
27日、フリッツ・ラング監督の映画『ビッグ・ヒート/復讐は俺にまかせろ』(1953年、アメリカ、90分、白黒)
28日、フリッツ・ラング監督の映画『条理ある疑いの彼方に』(1956年、アメリカ、80分、白黒)
今月(12月)のもう一つの特集が「フリッツ・ラング監督特集」である。
11日、フリッツ・ラング監督の映画『M』(1931年、ドイツ、99分、白黒)を鑑賞する。
出演は、ピーター・ローレ、オットー・ベルニッケ、グスタフ・グリュントゲンス。
ドイツのある町で連続殺人事件が発生する。警察当局の懸命な捜査にも関わらず、犯人への手がかりはなく、やがて暗黒街にも捜索の手をのばすが・・・。光と影を効果的に使い、犯人の恐怖感や民衆の狂気を巧みに描いた。ラング監督初のトーキー映画。(特集パンフレットより)
『M』はドイツの都市(ベルリン?)で少女が何者かによって誘拐され行方不明になり殺害される事件が多発する。警察が大捜索するが見つからない。人々も不安と猜疑心で犯人を捜す。
ある日、少女が行方不明になる前に、口笛が聞こえるという街角の盲人の風船売りが気づく。
風船売りから犯人が少女の気を引くために風船を買っていたのだ。
そのときに犯人が口笛を吹いていたのだった。
市民が犯人の男を見つけその男の背中に白墨で殺人者を意味するMの記号を手で押し当てて付ける。
それを知らない男は逃げるが、市民に追い詰められて捕まる。
その後に軟禁された犯人の男が民衆による人民裁判で責められ弁護も叶わず殺される。
犯人とそれを裁く民衆の異様な狂気が緊迫感あふれる映像で描かれている。
この頃、1930年代初期のドイツ、ヒットラーの台頭する時期のドイツ社会の不安感が反映されているのではないだろうか。
ふと、そんな気がする作品であった。
のちに、ユダヤ人のフリッツ・ラングは1934年フランスへ亡命、その後アメリカへ渡っている。