雑誌『時代映画』3

 雑誌『時代映画』7月号(1956年)昭和三十一年七月一日発行ですが、発行元は時代映画社で京都市右京区太秦西蜂岡町九ノ八となっています。編集兼発行人が八尋不二です。
 多田道太郎著『転々私小説論』に所収の「飄逸の井伏鱒二」で、井伏鱒二論を展開しているのですが、山中貞雄、八尋不二など数人の監督・シナリオライターが自由自在のグループをつくり、称して鳴滝組といったと述べている箇所がありました。
 多田さんは、井伏鱒二と中村正常とが集団制作をしていた例と並べて、映画でもシナリオで集団制作の例として鳴滝組にふれていたわけです。
 それはさて置き、『時代映画』7月号に座談会があります。
 タイトルは、「人文科学研究所員と共に 日本映画を語る会」で、出席者は桑原武夫森一生柳川真一、辻久一、松尾尊充、吉村敦子、山田稔加藤秀俊河野健二依田義賢多田道太郎、樋口謹一、黒田憲治、上山春平の14名。
 出席者の写真があり、大きなテーブルを囲んでの座談会です。
 冒頭、依田義賢の司会で始まります。
 述べられているのは、「時代映画と観客層」「戦争映画のリアリティ」「古典の新解釈について」「スターヴァリューについて」「藝術と娯楽」といったことをめぐる談話ですね。
 参照:笑いが弱者の武器だhttp://d.hatena.ne.jp/kurisu2/20120929

転々私小説論 (講談社文芸文庫)

転々私小説論 (講談社文芸文庫)


雑誌『時代映画』7月号(1956年)