対談「政権交代より大事な変化があったよね」

 農文協の雑誌「季刊地域」No.18、2014年夏号に、高橋源一郎vs内山節の特別対談が掲載されている! 
 農文協から『内山節著作集』発刊記念特別対談ということで、著作集の編集担当者が企画したのではなかろうか。
 「政権交代より大事な変化があったよね」いうタイトルの対談である。
 参照:http://kikanchiiki.net/contents/?p=2338

 対談の一部を引用すると、
 
 内山 (前略)だから原点は、弱さにあった。弱さがあるから関係をつくったっていうところを忘れて、人間は知性や理性があるから強い生きもので、自然界の王者であるというかたちでヨーロッパの哲学思想が発生したのは、これは根本的にまちがっていたっていうことですね。(後略)
 高橋 それで言うと、弱さを本質とする人間という動物がつくりだした最大の道具は言葉だということです。クジラやイルカにも言葉のようなものがあると言いますが、その言葉には、死者は乗れないし、過去も乗れない。現在しかないわけですね。人間はあまりにも弱すぎるので、あらゆるものを生み出さざるをえなかった。(中略)
 哲学も文学も、言葉に関するひとつの小コミュニティだと思うんですよね、言ってみれば。そのなかでは哲学者たちも、まだアリストテレスまで生きていて、ずっと僕たちに、言葉を送ってくる。文学も同じように、2000年前に肉体が滅んでも万葉集のように、そのころの人たちの言葉は今も届いている。生きている。それはやっぱり人間が最弱だからできたことです。