鴨と片岡義男著『町からはじめて、旅へ』のこと2


 3日は節分。恵方巻を食べる。
 渡り鳥の鴨でキンクロハジロ(金黒羽白)の群れを眺めていたら、キンクロハジロとからだの色と模様の違う鴨が混ざっていた。
 茶と白の羽の色模様がくっきりしたホシハジロ(星羽白)という鴨だった。
 眺めていると、キンクロハジロの群れへ進んで入り込んでいる。一緒に群れの仲間になったり、また群れから離れて出て来たりと、水面を滑るように移動する。
 好奇心があるのか、人の居る方にも近寄って来て平気な鴨だ。
 野生の鳥にしては、人への警戒感があまりないような感じがする。
 前にも書いたことがあったが、キンクロハジロ(金黒羽白)の群れは、長新太の『トリとボク』という絵本を連想させる。

 晶文社から片岡義男の70年代の本が三冊復刊される。
 『町からはじめて、旅へ』と『10セントの意識革命』と『ロンサム・カウボーイ』の三冊。
 『町からはじめて、旅へ』の1976年の初版本の「あとがき」を読むと、昨年の鴻巣友季子片岡義男の両氏の対談本、『翻訳問答 日本語と英語行ったり来たり』で話題になったことがすでにこの本でも書かれていることに気づいた。

 それはさて置き、『町からはじめて、旅へ』に、雑誌「宝島」で連載「南海の楽園より」1974年〜1975年に連載された文が収録されている。
 その中の一部引用すると、
 《ハワイに対するぼくの側からの熱意や興味は、たいへんにトータルなものでありつづける。あのような興味深い場所ないしは文化に対して、部分的にしか興味を持たないということは、すきなくともぼくの場合、ありえない。
 そのトータルな興味のなかで、比較的に小さな部分を構成しているのは、ピジン・イングリッシュないしはハワイでの日系社会における共通の言語に対する興味だ。ハワイ日系社会という類まれな文化の根っこをまずおさえるためには、その文化への重要な出入口のひとつである言語を手のなかにつかむことがぜひとも必要だ、とぼくは以前に書いた。(後略)》 183ページ

 ところで、片岡義男さんのハワイに対する熱意や興味に、ラハイナのことがあるのに注目しました。
 片岡義男さんのルーツをさぐる旅とでもいえるでしょうか。 

 参照:「ラハイナまで来た理由」http://www.aozora.gr.jp/cards/001506/files/51367_38656.html

町からはじめて、旅へ

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翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり

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