ともどもに揚羽寸分同じきが

 止っているアゲハチョウを地面に見つけ近寄ると翅(はね)をパタパタさせた。
 できるだけ接近して、その行動を観察し、撮影する。
 やがてアゲハチョウは翅(はね)をパタパタさせながら、ぐいと頭を上げると地面から離れ飛び去った。

 アゲハチョウ科のチョウ。翅(はね)の開帳八〜一二センチ、黄色に黒色のすじや斑点がある。幼虫はミカン・サンショウなどの葉を食べ、柚子坊(ゆずぼう)とよばれる。なみあげは。鱗翅(りんし)目アゲハチョウ科のチョウの総称。大形で、多くは後ろ翅に長い突起がある。クロアゲハ・キアゲハ・アオスジアゲハなど。  『大辞泉

 前書きに、

 日比谷公園 五句
 「ともどもに揚羽寸分同じきが
 「ペリカンとそれの人輪に蝶低く
 「緑陰の皆があち向く水光る
 「緑陰のやがては蝶のめぐりもす
 「緑陰に経ちし時計をかざし見し


 昭和十五年(1940年)の夏、中村汀女日比谷公園を詠んだ句です。