まだ青き檪(くぬぎ)落葉はことに燃ゆ

 海藻が砂浜に打ち寄せられていた。
 小さな砂礫(されき)の浜である。
 調べるとアオサとオキツノリのようである。

 アオサ科の緑藻。海岸の岩石に着生し、濃緑色で平たく、ところどころ穴がある。あなあおさ。  『大辞泉

 波に洗われてみずみずしい色をしている。

 山野は紅葉が進んでいる。


 「ペリカンの己わびしと夕落葉
 「まだ青き檪(くぬぎ)落葉はことに燃ゆ
 「落葉早や掃き行く人と別れたる


 中村汀女の俳句で、昭和十年(1935年)の句である。
 前書は、「日比谷公園」とあり、六句ある句の前からの三句です。

 昭和十年の秋のある日、汀女は日比谷公園を訪れた。
 公園内の落葉は燃えるような色をして地面に散っていたよ。
 くぬぎの葉はまだ青かったけれど・・・。