「懐しの七月」

 21日、NHKラジオの「ミュージック・イン・ブック」を聴きました。ゲストが長嶋有さんで、文学談話とゲストのリクエストした音楽が放送された。聞き手は松浦寿輝さん。 
 29日、夜、雷が伴って雨が降り始めた。梅雨が本格化してきた。 
 夏至のころから山桃(ヤマモモ)の実が街路樹や公園樹に見られます。一年中緑の葉をつけている常緑樹で高く大きな木ですが、枝のあちこちに濃い紅色の実が熟して付いています。熟れた実が樹下に点々と落ちていました。
 

ヤマモモ科の常緑高木。本州中部以西の山地に多く、高さ約一五メートル。葉は長楕円形で、革質。雌雄異株。四月ごろ開花し、雄花は黄褐色、雌花は花柱が紅色。実は球形で、夏に紅紫色に熟し、食用。樹皮は染料、漢方では揚梅皮(ようばいひ)といい薬用。揚梅。しぶき。  『大辞泉

  
 六月は稲垣足穂の「懐しの七月」を読んでいます。
 『稲生家=化物コンクール』に所収の「懐しの七月」です。
 一九五六年「作家」一二月号に掲載された作品ですが、この怪異譚を稲垣足穂は三つバリエーションで書いています。

 1、懐しの七月ーー別名「余は山ン本五郎左衛門と名乗る」
 2、「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」
 3、「稲生家=化物コンクール」

 『稲生家=化物コンクール』は上記の三つの作品を収録していて、「動くオブジェと平太郎少年と山ン本氏と」というタイトルで高橋康雄さんが解説文を書いています。
 主人公は稲生平太郎少年、父母がすでになく、幼弟の勝弥と共に、家来を一人置いて住んでいた。
 寛延二年七月一日から三十日にかけて、広島浅野家支藩三次(みよし)五万石の城下で平太郎少年が毎夜に起こった怪異現象、化け物の出没と対峙し、一歩も退くことなく健気(けなげ)にふるまった。
 高橋康雄さんといえば、戦前の少年雑誌に連載された小説についてアンソロジーの解説を書いていて、畑耕一の時代小説について言及されていました。気にかかる編集者だったのですが、山口昌男さんの札幌大学に居られたことは後に知りました。

稲生家=化物コンクール (タルホ・ヴァリアント)

稲生家=化物コンクール (タルホ・ヴァリアント)