映画『あにいもうと』

 「没後50年 成瀬巳喜男監督特集」からの一本、成瀬巳喜男監督の映画『あにいもうと』(1953年、大映、86分、白黒、35ミリ)を鑑賞。

 出演は、京マチ子、森 雅之、久我美子浦辺粂子、堀雄二、船越英二、山本礼三郎。脚本は水木洋子キネマ旬報ベスト・テン第5位。

 室生犀星の同名小説の二度目の映画化。兄の伊之吉(森雅之)と妹のもん(京マチ子)は、激しくぶつかり合いながらも、心の底では兄妹愛を通わせていた。時代背景を戦後に移して家族のドラマを描く。(特集パンフレットより)

  五月に亡くなられた京マチ子さんの出演作。兄役の森雅之と妹役の長女の京マチ子の喧嘩のシーンが、二人の口論と取っ組み合いで大乱闘になる。二人の肉体と感情がスクリーンに爆発するような演技である。父親(山本礼三郎)は、昔、護岸工事の石工の頭で多くの人を使って仕事をしていたが、コンクリートの護岸工事に時代が移っていったので、今は落ちぶれている。茶店で家計を支える母親役の浦辺粂子の演技が素晴らしく良かった。次女役の久我美子も好演している。