小林信彦の「小説世界のロビンソン」を読む。
新潮社のPR誌「波」一九八四年一月号~八七年十二月号に連載が及んだ。
文庫の発行が、一九九二年八月二十五日。平成四年である。
文庫の解説は、風間賢二氏。
本書が画期的な書物なのだと風間氏が解説でその理由を細かに書いている。
《同時に、これまでそうした凡庸な評論家連のご託宣によって小説に対する鑑識眼をくもらされ、物語を読む逸楽に達することができなかった読者は、本書を繙(ひもと)くことによって必ずや小説の真の面白さに開眼するに相違ない、といったことを言いたいのだ。》
第二十八章 ブローティガンの場合――「愛のゆくえ」について
この章で、筆者の小林信彦さんは、一九七〇年代後半のある日、京王プラザホテルのコーヒー・ショップで友人を待っていた時に、退屈のあまり、周囲を眺めているとリチャード・ブローティガンにそっくりな人物に気づく。
なんと、本人であった。
《ぼくたちが立ち上がり、握手を求めたのはいうまでもない。》
小説世界のロビンソン / 小林 信彦【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア (kinokuniya.co.jp)