野見山暁治の『一本の線』のあとがき

 絵描きの自伝は大抵面白い。池田満寿夫の『私の調書』もおやっと思わされる話があっていいのだが、野見山暁治の『一本の線』(1990年第1刷発行、朝日新聞社)もいい。あとがきの文章も文句なく気に入った。
 今、この本は絶版になっているらしい。
 野見山暁治田中小実昌の『言うということ』の中で、「女房の兄」として書かれている。このあたり(106頁)のエカキの三村さん夫婦にたいしての田中小実昌さんの観察は文章におかしみがある。