『結婚のアマチュア』

 晴れ上がっているが、ときどき雪が舞い降りる。すぐに止んで陽射しは強い。最高気温は二度という。そういう寒さのなかで、赤いナンテンの実が鈴なりになっているのを見た。目に鮮やかな赤い色。この季節の風物詩かな。
 PR誌の『本の話』6月号(文藝春秋)で中野恵津子の「作家アン・タイラーができるまで」を読む。中野訳によるアン・タイラーの最新作『結婚のアマチュア』にふれている。それを書いたアン・タイラーという作家がどんな風に育ったのだろう? それへ中野さんが答えている。四十年も前に読んだ『缶詰の木』(原題The Tin Can Tree 一九六五年 未訳)という二冊目の長編から、中野さんは、この作家は「気味が悪いくらい」他人の心が読めるのではと感じたそうだ。そういう初期の頃からこのアン・タイラーに関心を持ち、翻訳をされてきた人の語る話である。うーん。これを読むとアン・タイラーの小説を読んでみたくなるなぁ。
 映画『偶然の旅行者』はアン・タイラーの小説『アクシデンタル・ツーリスト』が原作。公開時に、この映画はサロンシネマで観た。大きな座席で横になっても観れるし、胡坐(あぐら)もかけるほどに幅が広い座席で。前の座席と一メートル以上も離れているゆったり空間の座席。その上に前に大きなテーブルも付いているのだ。