枇杷の実

ビワの実

 枇杷びわ)の実がまだ小さいけれど、もう育っている。寒を過ぎた頃に散歩の途中に見かけた枇杷の木だ。寒い時期だったけれど枇杷の花が咲いていて、良い香りが漂って来たものだ。甘い香りだった。垣根からはみ出すように伸びている枇杷の枝に近寄って見た。蕪村の冬の句に、

 枇杷の花鳥もすさめず日くれたり*1

 枇杷の花は、蕪村も詠んでいるように、見た目は地味で目立たない花であるが、花の時期にとても良い香りを漂わせる。隠れた花の香りの名木かな。
 書店で小学館のPR誌『本の窓』と集英社の『青春と読書』2006年5月号をもらう。『本の窓』で池内紀の「ザルツブルク――祝祭都市の顔」を読んだ。ザルツブルクの町を語りながら、若いころのモーツァルトの気持ちに思いをめぐらせている。『青春と読書』の表紙は落田洋子の銅版画だ。タイトルは「ARGENTINA」。これも落田洋子さんの「新作油彩画展」を見た時にあった版画かな。
 出久根達郎の『立志ふたたび』(新潮社)を読んでいると、「桜花再会」に民家の庭木の桜の花を毎年、塀の外からしばらく立ち止まって楽しませてもらう話があった。その話には先客がいて意外な言葉のやり取りをすることになるのだが・・・。

*1:すさめぬ。賞美せぬ。嫌って遠ざける。