サトイモ畑にて

サトイモ

 サトイモ畑が通り道にあって、葉や茎がなんとなくハスの姿に似ているので立ち止まって見た。畑の一角にサトイモが密集しているのだ。背丈の高いサトイモで、アゲハチョウが一匹いて、舞っている。そばへ近寄って来て、よそへふらふら飛んで行った。葉の表面に触れるようにアシナガバチが、これも一匹で飛び回っている。花ではなくサトイモの葉の中を、ぐるぐる飛び回っていた。

膜翅(まくし)目のうち、アリを除く昆虫の総称。二対の膜質の翅(はね)をもち、後ろ翅は小さく、前翅の後縁にかぎで連結される。産卵管の変化した毒針をもつものもある。完全変態をする。木の枝や軒先・地中などに巣を作り、花から蜜を集めたり他の昆虫を狩ったりする。社会生活を営むものでは、女王蜂・雄蜂・働き蜂などの階級があり、分業がみられる。ハナバチ・アシナガバチ・アナバチなど種類が非常に多い。  『大辞泉

 辞書に一茶の句で「一畠(「はたけ)まんまと蜂に住まれけり」が、引用されていた。
 『サンデー毎日』の連載、中野翠の「満月雑記帳」を読んだ。刺激的な読後感あり!
 この夏に読んだ本の三冊をめぐってが良かった。きだみのる深沢七郎杉浦日向子。この内で、きだみのるを再読した中野さんの読みがいいね。深沢七郎も。うーむ。満足(満月)。
 『文學界』2006年10月号にも中野翠のエッセイが巻頭にあって読んだ。狐の山村修さんについての思い出など。タイトルは、「さようなら〈狐〉」。『会いたかった人』の「中野みわ――あまりにも私的なある一族の物語」で、「操られている」という感慨を持ったことを、今回も書かれていた。
 他に、高橋源一郎の連載の冒頭の二ページが笑える。爆笑。そのあと小島信夫保坂和志といった〈登場人物〉が〈小説〉に〈登場〉する。メタメタのデタラメの面白さ。