アンリ・ルソー 創作の秘密

三日月

 晴れて日差しが強い。川を渡っていると一羽のカモメが頭上を飛び越えて行きつつあった。下から眺めると、あっという間に飛び去って行った。速い。
 夕方、川岸のセンダンの木のそばから南の空を仰げば、三日月が昇っていた。暮れ行く空の色の変化が素晴らしい。しばらく見とれていた。『蕪村遺稿』に、

さびしさのうれしくも有り秋の暮
人は何に化(ばけ)るかもしらじ秋のくれ*1

 NHK教育の「美の壺」という番組を観る。テーマは「本の装丁」で、たとえば、夏目漱石の『吾輩は猫である』の装丁本の数々が、興味深かった。木版による表紙絵など贅沢なつくり方をしている。コレクターの集めた『吾輩は猫である』本など、数多く集まることでの面白さが感じられた。
 夜半に日付が変わった頃の夜空は、一面に天の川が広がっている。夜半前には月も沈んで見えなくなっていた。
 深夜、五分ほどの短い番組で「アンリ・ルソー 巨匠になった日曜画家」を見た。サラリーマン生活のかたわら絵を描いていた日曜画家の人生をたどる。その創作の秘密が解き明かされている。図鑑、植物園・・・。
 先日(22日)の新日曜美術館で「アンリ・ルソー 日本人が愛した日曜画家」も興味深かった。
 
 

*1:脚注に、「秋の暮仏に化ける狸かな」(新花摘)