荻上直子の映画『めがね』のこと

めがね

 22日から公開されている荻上直子の監督・脚本の映画『めがね』を観る。シネツイン2で、最終回だった。観客は三十人ほど。
 映画館へ行く前に、ブックオフで、
 たむらしげる『サボテンぼうやの冒険』(偕成社)装幀・内澤旬子
 水上勉『精進百撰』1997年(岩波書店)装幀・万膳寛などを買う。

 さて、映画『めがね』はというと、昨年(2006年)の映画『かもめ食堂』を観たあとに「おむすび」(おにぎり)を食べたくなったが、映画『めがね』を観たあとに、なぜか「あずきのかき氷」を食べたくなる。
 主人公のタエコがたどり着いた南の海辺の宿で、タエコを含めて、五人が、ひとりひとり、思い思いのたそがれを過す日々がつづられている。風、光、風に揺れる樹木、海辺の光景。
 小林聡美が主人公タエコを、地元の高校で生物を教えているという女ハルナを市川実日子が、常連客のサクラさんをもたいまさこが、それぞれ演じている。
 ハマダという宿の主人ユージを光石研が、タエコを追ってやって来た青年ヨモギ加瀬亮が、それぞれ演じている。五人ともめがねをかけている。それで、めがねか? それと、犬が一匹。
 朝が来ると、タエコへ「お早うございます。」と呼びかけに来るサクラさん。
 海辺で、土地の子供たちと一緒に「メルシー体操」をする光景。
 朝食に、梅干を皆が箸で摘んで口へ運ぶときに、「梅はその日の難のがれ」と宿の主人が言うシーンがあった。ことわざ、言い伝えらしい。
 かき氷を小豆の餡から鍋で煮詰めて作り、かき氷をつくるサクラさん。浜辺で五人が、かき氷を食べている場面があって、印象的だ。
 夕食のバーベキューの焼肉とビール、大きな海老(伊勢海老?)をむしりながら食べる場面もあり、食べ物のシーンが多い映画だね。
 おっと、忘れていた。薬師丸ひろ子が、ちょこっと出演しているのだった。これも、忘れられない場面だろう。
 ラストのエンディングテーマ曲が、大貫妙子の歌であるのも印象深い。
 それにしても、シネツイン2の座席が、吸い付くように快適なのに驚いた。こんな素晴らしい座席はちょっとない。調べてみると、《148席(2階席有り)、日本初登場ニューバージョン・タイプのフランス製シートを採用した姉妹館最大の劇場》とある。なるほどね。