たんぽぽのお酒

たんぽぽと綿毛

 久しぶりに晴れ上がって気持ちのよい天気。春の雨で散った桜があり、もう葉桜になりかけている。
 道端にたんぽぽの花が咲いていた。茎が伸びて、高さが五十センチ以上もある。ずいぶん伸びたものだ。
 ふんわりした白い綿毛に手を触れる。ちょっと摘んでみると、綿毛が無数に割れて、小さな落下傘になり、ゆっくりゆっくり滑るように拡散して行く。
 どこまでもどこまでも飛んで行くのだろう。
 夕方、ブックオフの新しい店でレイ・ブラッドベリの『たんぽぽのお酒』(北山克彦・訳)が棚にあった。手にとって見る。
 晶文社の「文学のおくりもの」シリーズの第一巻、レイ・ブラッドベリの『たんぽぽのお酒』。 
 一九七〇年代の晶文社の本で、カバーは古びているが、本文の紙質は日焼けもなくきれいだ。
 裏のカバーそでに、何人かの推薦文があり、そのなかに植草甚一の文もあった。
 ブラッドベリカルヴィーノは植草さんのお気に入りだという旨のコメントだ。
 それと本文の挿絵が長新太である。うーん。この組み合わせいいね。
 なかなか味わい深い長新太の挿絵の線である。