津野海太郎著『最後の読書』について

 最近、読んだ興味深かった津野海太郎著『最後の読書』についての覚え書き。

 紀田順一郎氏の膨大な量の蔵書の処分をめぐる話題で、津野さんの蔵書処分の経験が参考になりました。

 山田稔氏の映画を観るスタイルと津野さんの現在の映画を観るスタイルの微妙な違いが語られていて、これからの人々が映画を観るスタイルを予見しているようだ。

 晶文社の編集者時代に関わった本の話(植草甚一ブローティガン)や津野さんの須賀敦子論が、とても面白かった。獅子文六の小説『自由学校』が映画化された当時の時代背景を津野さんが語っているのだが、それが須賀敦子の文学の核心的な部分に触れているのに目からうろこだった。 

 以前、ロベール・ブレッソン監督の映画『罪の天使たち』(1943年)の主人公の心情に似たものが須賀さんにあるように感じていた。当たらずとも遠からずかな。

最後の読書

最後の読書