「自然に親しむ」を聴く

 ラジオ深夜便で「ないとガイド」の「自然に親しむ」を聴く。今夜は明石 勇アナウンサーの担当日である。二ヶ月ぶりに内山節氏がゲストだった。
 聴こうと待っていたが、少し眠っていた。気がついて耳を傾けると、ジャガイモをめぐる談話が展開されているところから聞けた。
 収穫が少ない場所って、美味しいんですね。
 だから、標高が高いとか、土に石が混じっていてあんまり肥れないとか、そういう原産地に近いところ・・・といった話題が明石アナウンサーと内山氏との間で語られる。
 ただ、今年は大豆が駄目で、ネットを張るのをサボりましたら、ちょっと甘かったですね。
 畑の土を耕し始めますと、鳥たちが様子を見ているんですね。
 以前、そばを撒(ま)いたことがありましたが、鳥に食べられました。
 明石 「そばの味を知っている鳥とはどんな鳥なんでしょうかね。」
 自然の生き物というのは舌が肥えていますから。
 ぼくの農業ですと、取られても、自分が食べる分だとそれでいいんですが・・・。
 明石アナウンサーが、「動物たちの害は心配ないんですか?」
 大豆は(今年は)ほとんどないわけですが、サルが来て大豆を食べる。イノシシが来て大豆を食べる。きれいに鞘(さや)だけ吐き出して、豆だけ食べて行きます。
 動物は美味しいところだけ食べて行きます。クマなどは外の皮はむいて食べますからね。
 ぼくのいる上野村では昔は林業があったんですが、もう林業やろうと無理なんですね。
 山で切って市場に一立方当たり一万二千円(経費が)掛かる。
 売ると六千円、八千円。
 切って、運ぶだけで原価割れしてしまうんですね。
 そういうかたちで、林業離れが起こっていて・・・。
 林業は、このあと大変ですねという感じですが、一年単位でなしに百年単位ですから・・・。
 漁民も大変になっていますが、このあと山村、農村、漁村、意欲がつづかなくなっちゃったんですね。意欲を失った場合、次の手を打てない。
 意欲を失って行く理由は価格なんですね。自分たちのやってきた労働が馬鹿にされた場合ですね。
 ニラを例に挙げて、一束(ひとたば)が五円という出荷価格、あんまり価格が安いというのが続くと・・・。
 このままじゃ一次産業、農業に人間たちは意欲を失っていく。
 社会にとって何が価値があるのか、もう一度つかみ直さなければ・・・。
 8月、どういう価値観で生きていくかということをめぐってシンポジューム上野村でやっていくことになっています。と番組の終わりに内山氏が話されるのだった。