今宵はクリスマス。モミの木にクリスマスツリーが光のイルミネーションで飾られています。
「生誕100年 田中絹代・上原謙特集」から、成瀬巳喜男監督『流れる』(1956年、東宝、116分、白黒)を観ました。観客は10人ほど。
幸田文の小説『流れる』の映画化で、脚本は田中澄江と井手俊郎。美術が中古智です。
子供と夫を亡くした梨花(田中絹代)は芸者置屋の女中になって住みこみで働き始める。
置屋の女将が山田五十鈴で、その娘が高峰秀子。
この三人の女優に、脇役として芸者を杉村春子、若い芸者を岡田茉莉子、女将の妹を中北千枝子、女将の姉を賀原夏子。男優は宮口精二、加東大介が好演。
傾きかけた芸者置屋の女たちの緊張感のある確執、苦悩の演技がみせどころですが、田中絹代の控え目な言葉遣い、やりとりが、そのなかで落ち着いた言葉遣いとユーモアでひとり輝いているのが印象的でした。ラスト近くで三味線を山田五十鈴と杉村春子が二人で演奏するシーンも。