コサギと『どん底』

どん底

 川の岸辺で、コサギに遭遇する。
 コサギは、人の気配に気づくと、ふわりと飛び立った。
 その飛行する姿は優美だ。くちばしが黒い色で、指が黄色に見える。 

サギ科の鳥。全長六〇センチ。全身白色で、くちばしと脚が黒く、指は黄色い。日本では留鳥で、水田・河川・沼などにすむ。 『大辞泉

 「生誕100年 黒澤明監督特集」から『どん底』(1957年、東宝、125分、白黒)を観に寄る。
 2月プログラムに、 

ゴーリキーの同名戯曲を、江戸時代の長屋に舞台を移して映画化、今の生活から抜け出そうともがく者、はかない夢にすがって生きる者。演技陣が絶妙のアンサンブルを見せ、希望と絶望とが交錯する。長屋の人間模様を描く。

 出演は三船敏郎山田五十鈴香川京子、三井弘次、左卜全千秋実中村鴈治郎渡辺篤、上田吉二郎、清川虹子東野英治郎
 崖下の貧乏長屋を舞台にした人間模様を描く。
 巡礼の爺さんの左卜全の飄々とした話しぶりや遊び人の三井弘次の演技が良かった。
 長屋の大家(中村鴈治郎)、大家の女房(山田五十鈴)の悪人ぶりもすごい。
 トントンちきめ、トンちきめ・・・と囃子(はやし)ながら三井弘次らが踊るラストのシーンも印象的だ。そして三井弘次の捨て台詞も。この三井弘次の捨て台詞は、落語のしゃれや語呂合わせなどで話の終りをしめくくる「落ち」「下げ」みたいである。
 そういえば、落語本で、画期的な本が、くもん出版から来月(3月)、矢野誠一・監修、画・勝川克志『まんが落語ものがたり事典』が出るようだ。落語約四〇本、三三〇ページの落語漫画である。

まんが 落語ものがたり事典

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