「新藤兼人 百年の軌跡」の一本。
14日、新藤兼人監督の映画『縮図』(1953年、近代映画協会、131分、白黒)が上映された。
出演は乙羽信子、北林谷栄、宇野重吉、殿山泰司、菅井一郎、沢村貞子、滝沢修、山内明、山田五十鈴、細川ちか子、山村聡、日高澄子、進藤英太郎。撮影・伊藤武夫。音楽・伊福部昭。
プログラムに、
徳田秋声の同名小説の映画化。ヒロイン銀子は、幼い頃から花柳界に身を置き、関東から東北へ、そして再び関東へと転々とする。彼女の生涯を通して、芸者の世界の厳しさと、そこでたくましく生きる女の意地をリアルなタッチで描く。
新藤兼人著『三文役者の死』(同時代ライブラリー)に、『縮図』について次のような記述がある。
近代映協は大映では吉村監督で『源氏物語』(主演長谷川一夫、木暮実千代、水戸光子、京マチ子、乙羽信子、昭二六)、『自由学校』(原作獅子文六、主演木暮実千代、小野文春、昭二六)と興行的にヒット作をこなしたが、いずれも提携作品で近代映画協会の名はしるしていても、提携とは名のみ、会社の企画で会社の制作費で、まったく独立プロ側に主体性はなく、事実上は雇われているのと変わりない。
そこで『原爆の子』『夜明け前』『縮図』の三本を企画として出したが、『夜明け前』は歴史劇でしんき臭く恋愛がない、『縮図』は自然主義文学なんて古臭くカビが生えていると一蹴された。 92ページ