増村保造監督の映画『刺青』

エンド・マーク4月号

 「新藤兼人 百年の軌跡」関連で、新藤兼人の関わった映画が各館にて分散上映されている。
 増村保造監督の映画『刺青(いれずみ)』(1966年、大映、86分、カラー)を観る。
 一週間限定上映。サロンシネマにて。中高年が多い。フィルムの状態は非常に良い。
 谷崎潤一郎の小説『刺青』の映画化、脚本を新藤兼人が書いている。撮影が宮川一夫である。
 出演は若尾文子、長谷川明男、山本学佐藤慶
 冒頭、刺青師清吉(山本学)によってお艶(若尾文子)の背中に刺青が彫られているシーン。
 ラスト、お艶の道行きの相手新助(長谷川明男)とお艶、そして女郎蜘蛛(じょろうぐも)を彫った清吉が女郎蜘蛛を彫ったことを後悔してお艶とともに自滅してゆく。
 窓口でもらったエンド・マーク4月号の解説に次のような一文があった。

 《映画3大条件がとにかく凄い傑作!!》
 
 3大条件とは、

 1すじ
 2ぬけ
 3役者

 1すじ(新藤兼人さんの脚本に若尾さんが反応する)
 2ぬけ(宮川一夫さんの撮影は芸術の域に。)
 3役者(若尾文子さんの絶品の魔性の女ぶりにゾクッ)これぞ〈映画美学〉。
 
 若尾文子の妖艶な演技に目を見張る。
 背中の女郎蜘蛛の妖気に男たちが次々と無慈悲にも倒れてゆく。
 宮川一夫の映像美にゾクッと酔いしれる。