『千駄木の漱石』を読む

 地図の雑誌で「ラパン」という雑誌があった。
 種村季弘の「東海道寄り道紀行」という連載があり楽しみだった。
 その連載を収録した『東海道寄り道紀行』が、今年の夏に刊行された。
 東海道沿線の駅から川をさかのぼって温泉地や峠などを漫歩する。
 二篇ほど岡山の鬼ノ城や広島の三次の「妖怪かワニか 川の町・三次散策」が含まれている。
 その雑誌「ラパン」に、森まゆみさんの連載もあった。
 森まゆみさんの連載も興味深かった。
 それはさて置き、森まゆみ著『千駄木漱石』を読んでいる。
 1986年に『谷中スケッチブック』を書き、1992年に『不思議の町 根津』を上梓した。この二冊はちくま文庫で命脈を保っているそうだ。
 谷中→根津と来て、なんと二十年経って、千駄木についてまとめることができたという。
 読みながら付箋を付けていく。
 夏目漱石千駄木で過した時期を、森まゆみさんは書いている。

 

明治三十六年三月三日雛の日から、日露戦争をはさんで明治三十九年暮れの十二月二十七日まで、千駄木に暮らした知識人一家の暮らしと感情を味わってくだされば、これに過ぎる喜びはない。千駄木漱石にとって、英語・英文学教師から作家となった土地であり、絵や文を書くことでどうにか神経衰弱をなだめた土地であった。  「あとがき」より。

千駄木の漱石

千駄木の漱石

東海道寄り道紀行

東海道寄り道紀行