『スワ氏文集』を読む

 新刊で諏訪哲史著『スワ氏文集』(講談社)を読む。
 タイトルは「すわしもんじゅう」である。
 本文、前口上に、
 

「スワ氏文集」は、白居易(はくきょい)の白氏文集(はくしもんじゅう)にならって「スワし・もんじゅう」と読みます。かの紫式部が幼いころ読んだといわれる白居易の名文には比ぶべくもないコラムですが、僕なりに、力のかぎり筆をふるってやろう、そう開き直って書きはじめました。 1ページ

 朝日新聞の東海エリア(愛知・岐阜・三重・静岡西部)で2008年7月に始まった連載コラムと雑文を八篇加えて一冊としたエッセイ集である。
 地元名古屋を題材にしたコラムであるが、コラムを始める際に三つの信条をかかげました、とある。

 1あえて日常のどうでもいい事がらを優先してとりあげる。
 2折にふれ、読者を無茶な文体遊戯につきあわせる。
 3社会風刺においては徹底した「筆のテロリスト」となる。
 自伝的な話では、小学校五年の夏に、仙台から故郷の名古屋へ転校してきた。
 種村季弘さんへの言及があるのではとページをめくるといくつか発見した。
 少し引用する。
 

僕の貧乏は、収入が少ないということもありますが、本を買いすぎるのも大きな要因です。今も主に古本を月に30冊は買いますし、他に東京の画廊や美術展にも自腹で行きます。でも、当然赤字にならない程度しかお金は使えません。
 読書はもう病気です。先日試みに今まで読んだ本の冊数を概算したら9千数百でした。でも僕の恩師の種村季弘先生なら同じ40才の頃にはこの倍は読んおられたはず。しかも半分は洋書。僕は先生に一生追いつけない。文学が衰退するわけです。  148〜149ページ
 「ヒマなし貧乏の孤独な反乱」より
 

スワ氏文集

スワ氏文集