映画『戸田家の兄妹』と山口勇のこと

「戸田家の兄妹」

 10月も9月に引継ぎ、「家族の肖像 ホームドラマの軌跡」と題した上映会を開催している。
 そのうち9月に観た一本。
 小津安二郎監督の映画『戸田家の兄妹』(1941年、松竹、104分、白黒)、昭和16年の松竹映画である。
 出演は、佐分利信高峰三枝子斎藤達雄三宅邦子坪内美子、吉川満子、藤野秀夫、葛城文子、河村黎吉、葉山正雄、飯田蝶子笠智衆、山口勇。

 9月プログラムより引用。
 東京麹町の名門戸田家、父の死後、母親と末娘は、すでに家庭を持つ兄や姉たちに冷たく扱われる。それを知った次男は、兄や姉を非難し、二人を引き取ることに・・・。大家族を取り上げ、うすれてゆく家族の絆を松竹のオールスター・キャストで描く。 
 長男を斎藤達雄、長女を吉川満子、次女を坪内美子、三女の末娘・節子を高峰三枝子が演じている。
 母(葛城文子)と節子を、赴任中の天津に引き取ることを決意する次男を佐分利信が演じる。
 次男の昌二郎(佐分利信)が友人と集まって、三人で料理屋で酒を飲む場面があるのだが、友人役に笠智衆と山口勇が出演していた。
 田中重雄監督の映画『北極光』(1941年、新興キネマ、108分、白黒)という映画に、山口勇が出演していたのを思い出した。
 樺太でロケーションを行った大作で新興キネマ制作の作品である。
 小柴幹治の主演で凸凹コンビの弁慶(山口勇)と牛若(上田寛)が狂言回し的役で、かつて父を殺された小柴幹治が、その犯人を追い詰めて格闘するアクションシーンがすごい。
 小津安二郎監督の映画『戸田家の兄妹』と田中重雄監督の映画『北極光』は、どちらも昭和16年の作品で、山口勇の出演作である。

左下の写真で左側が高峰三枝子、右側が三宅邦子