ラウォール・ウォルシュ監督の映画「ビッグ・トレイル」

 「MoMA ニューヨーク近代美術館映画コレクション」の映画が、「Fシネマ・プロジェクト」の一環として全国巡回されている。(川崎市市民ミュージアム川崎市アートセンター金沢21世紀美術館神戸アートビレッジセンター山口情報芸術センター高知県立美術館ほか)
 映像文化ライブラリーで、6日、ラウォール・ウォルシュ監督の映画「ビッグ・トレイル」(1930年、122分、白黒)を観る。夜の部で、学芸員による「ビッグ・トレイル」についての解説があった。
 ジョン・ウェインが初めて主演した作品であるという。
 原作ハル・G・エヴァーツ、制作がフォックス。
 出演、ジョン・ウェイン、マーガリート・チャーチル、エル・ブレンデルタイロン・パワー

19世紀半ば、苦闘の末にオレゴン街道の西の果てにたどり着く開拓民たちを描いた叙事詩西部劇。ジョン・ウェインの初主演作品としても有名。1980年代、70mmワイド版(グランジャー)がMoMAによって35mmシネマスコープ・プリントに復元された。 

 冒頭、ミズーリ川の船着場に集まった幌馬車の集団が忙しく荷造りに追われている。
 ミズーリ川が船による交通の動脈のようだ。物資や人の往来が盛んだ。
 アメリカの1850年代の幌馬車による西部開拓団の大移動を描いている。

 ジョン・ウェインは狩人で、短剣の名手。西部のインディアンとも友好があり、土地勘があり、幌馬車隊の道案内をすることになる。彼らの言葉が分かる。
 幌馬車隊の隊長が荒くれ男で、ジョン・ウェインを煙たがって何度も手下を使って暗殺しようとする。
 だが、悪い奴ばかりが幌馬車隊の開拓民ではなく、ジョン・ウェインに味方する男たちが彼を助けるのだった。ジョン・ウェインと開拓民の女性(マーガリート・チャーチル)とのラブロマンスがからむ。
 作品にユーモアを感じさせる脇役が好演。
 西部の大平原を進む幌馬車隊は崖(がけ)をロープを使って馬車や馬を崖下へ下ろしたりする。
 川があると激流に逆らいながら幌馬車隊は渡る。馬も馬車も流され犠牲も出る。
 インデアンの部族の土地を通過するのも命がけだ。相手との交渉が成立して無事に通過できる時もあるが、ある部族の土地を通過中、インディアンの部族からの襲撃にあい、開拓民は幌馬車で円陣を展開して臨時の砦(とりで)を築き、回りを走りまわって弓矢で攻撃するインディアンから身を守るのだった。開拓民は武装している。
 雪のロッキー山脈を超える。内部分裂も起こる。
 そして、苦難の末に、緑豊かなオレゴンの平原へ大幌馬車隊はたどり着いた。
 森を切り開いて、木の家を建てる開拓民たち。
 カリフォルニアへ行こうとする者たち・・・。
 1850年代のアメリカの叙事詩的な西部劇である。
 参照:マーガリート・チャーチルhttp://en.wikipedia.org/wiki/Marguerite_Churchill
 映画「ビッグ・トレイル」で、ジョン・ウェインと初めて出会う場面のマーガリート・チャーチル。(パンフレット表紙より)