映画「悲しみよこんにちは」

 MoMAの通称で知られる「ニューヨーク近代美術館」。 その映画部門は、イギリス生まれの映画評論家アイリス・バリーの献身的な努力により、1929年の美術館設立の6年後、1935年に誕生しました。それから80年、MoMAは膨大なコレクションと野心的な上映プログラムで、常に世界のフィルム・アーカイブ運動をリードし続けてきました。 今回の企画では、映画草創期1905年に撮られた『ニューヨークの地下鉄』から、D・W・グリフィスやマック・セネットの短篇、ウォルト・ディズニー自身がつくった貴重なアニメーションや、ハワード・ホークスの初期の名作、ジョン・ウェインの初主演作に1950年代ハリウッドの黄金時代を彩る作品、アフリカン・アメリカンによる伝説的なインディペンデント映画や若き日のマーティン・スコセッシ監督が自身の両親を撮った貴重なドキュメンタリーまで、多様で魅力的な作品群を美しいヴィンテージ・プリントでご覧いただきます。MoMAの映画コレクションの豊かさと独自性を心ゆくまでご堪能ください。(「MoMA ニューヨーク近代美術館コレクション」(上映パンフレットより。)
 12月は、「MoMA ニューヨーク近代美術館コレクション」が映像文化ライブラリーで上映される。
 3日はエリア・カザン監督の「暗黒の恐怖」(1950年)、4日はアンディ・ウォーホル プログラム2作品で「スクリーンテスト」(1964年、16分、白黒、無声)と「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」(1966年、66分、白黒)が上映された。

 5日、オットー・プレミンジャー監督の映画「悲しみよこんにちは」(1958年、94分、白黒、カラー)を観る。夜の部である。厳しい寒さの夜であったが、若い観客が思ったより多い。
 出演、デボラ・カー、デイヴィッド・ニーヴン、ジーン・セバーグミレーヌ・ドモンジョ

 フランソワーズ・サガンのベストセラー小説の映画化。南仏で父と夏を過ごす17歳のセシル。父が亡き母の友人アンヌと結婚すると知ったセシルは、二人の仲を裂こうとするが、それが思わぬ悲劇を招く。ジーン・セバーグのショートヘアが“セシルカット”として大流行、ジュリエット・グレコの歌う主題歌もヒットした。

 映画が始まって、クレジットを観ていると、「絵」にクミ・スガイという名前があった。
 菅井汲の作品が映画に使われているのだ。
 シネマスコープで南仏の風景が色彩豊かに撮られている。撮影は、ジョルジュ・ペリナール。
 ジュリエット・グレコが歌う歌詞が、主人公の心模様を歌い上げていて印象深かった。
 17歳のセシル(ジーン・セバーグ)が、父の再婚相手のファッション・デザイナーのアンヌ(デボラ・カー)に父を奪われるという嫉妬心からの行動が、アンヌを悲劇に追い込んでしまう。
 

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